2009年8月のありがとう
人の成長

 成長するということは、「目に見えないものが、見えること」である。
 文章の誤字や打ち間違いは、誰にでも、また本人も見直せば分かる。
 しかし文脈の意味や論理の間違いは、上質者がその文の意図と目的を汲み取って点検し、発見されることになる。

 「小人閑居して不善を成す」という慣用句がある。誰もその行為を見ていないからと高を括っていても、見える人には見えるものなのだ。
 不善に限らず陰徳を積めば、それは明らかに人に分かるものである。
 少し観点を異にするが、スーザン・ランガーの「表現の孤島」というものがある。言葉で表現されているものが小さな島みたいなものだとしても、その背景には厖大な思い(思想)があるということである。右図の海に突き出た島を思い浮かべて欲しい。
 その小さな孤島から陸の全貌が分かる人をプロと呼ぶ。見えてない人は、その小ささだけで物事を判断する。だから間違うのである。

 同様に、仕事の一つひとつは孤島のようで、小さいかもしれない。しかし深いところで繋がっていた背景がある。
 仕事の成否とか値打ちは、この背景にある。このバックボーンを基礎知識といったり、仕事の黄金律だと表現する。
 このように、一つひとつの小さなことを大事にすることを「神は細部に宿る」という。

 まず「基本をしっかりマスターする」。これが、見えないものが見える一歩である。
 人は成熟するにつれ、見えないものも見えなければならない。見えたら深い仕事をせねばならない。
 8月の暑い中、健康で超えてくれてありがとう。

井上 健雄