2010年7月のありがとう
夏の過ごし方

夏夜
雨晴れて庭上竹風多し
新月眉の如く繊影斜めなり
深夜涼を貪って窓を掩はず
暗香枕に和す合歓の花  江馬細香;七言絶句

 いつの時代も、特に暑い時の過ごし方は、変わらないものである。
 変わったのは多分、異常気象が増えたことでしょう。
 山が崩れ、土石流が人を呑み込んでいます。温暖化によるドカ雨が引き金でしょうが、木が繁り一見健康そうに見える山が病んできていることが真因だと思います。

 涼を形成してくれる自然が狂い始めています。
 日本の森林率68.2%は、世界2位。森林面積も2,512万haもあります。この森林が弱ってきています。
 これが日本国の劣え、国民のパワーの劣えに繋がっていかないか、心配です。
 これが私たちをして、生物の多様性に取り組ませる理由だと思います。

 みな様もこれからいろいろな夏季休暇を取られるでしょうが、一度は緑陰の下で、自然、生物多様性のことも考えてください。
 「山滴る」という夏山の表現もあります。緑の滴りを楽しんでください。
 人はすぐ、これを森林セラピーだとか身体に良いコース認証だとか行いますが、まず自らが歩いて木や土や山の息吹に触れてみるのが一番です。
 山は日本国土の背骨でありますが、日本人一人ひとりの心の脊柱でもあるべきです。
 夏の充電、山でしませんか。俳句しませんか。

谺(こだま)して 山時鳥(やまほととぎす) ほしいまゝ (杉田久女)

 暑い7月の奮闘ありがとう。
 8月も暑いです。滴り充電で頑張りましょう。
 ありがとう。

井上 健雄