2005年2月のありがとう
約束(Code)
余寒の中、二月行事のラストスパートに入りましたね。 色々頑張ってくれてありがとう。

ホリエモンこと堀江貴文氏の最近の動向を材料に、私たちの約 束を考えてみたいと思います。
ニッポン放送の買占め、フジTVの日枝久会長との話し合いを望 んでいるが、門前払い的である。資本主義の中で、大株主に対 し、珍しい現象である。

これは余り常識的と言えないアプローチもさる事ながら、彼の人を食ったような顔と発言と服装も、既存のエスタブリッシュメント※には不快に映るらしい。

三木谷氏と争った時も、ラフな服装により顰蹙を買った覆轍が生きていない。彼は一般的なドレスコード(服装のルール)を守らないために失敗しているのである(勿論、TOBや資金運用会社などいろいろの思惑が入り乱れておりますし、ネット新人類の台頭など各種ございますが……)。

このあたりを見ていると、英国紳士はやはり恰好いい。
私のお奨めは、ゴードン・ブラウン蔵相。
彼はいつもティモシー・エヴェレストの服を着ている。ゆったりとして気持ちいい。トム・クルーズもエヴェレストのファンらしい。

勿論ブレアも、大手高級オーダーのビスポークを着こなしているのだが……。

政治の世界において、特にグローバル外交において、服装のルールはキチッと守られるべきである。
さもないと、とんでもない方向に進む恐れさえある。

こうしたドレスコードは、経済の仕事そのものに対して毒にも薬にもならないようだが、最終の意思決定に大きな影響力を持っている。
こうした服装は、見れば分かるが(分からない人も多いが)、見ても分からない考え方こそが本当に重要である。

アバラハム・マズローの欲求五段階説は、余りに有名であるが、その上の六段階説を用意していたことを皆様はご存知だっただろうか。
それは、

 1.生存の欲求
 2.安全の欲求
 3.所属の欲求
 4.自尊の欲求
 5.自己実現の欲求

の五つである。

加えるに6.共同体発展欲求(Need for Community Development)があったと言われている。

再度整理すると、1〜3の欲求は、依存であり、4〜5の欲求は、独立であり、最後の6は、依存と独立を超えて相互依存に入っているのが面白い。

これは、マズローが6を発展させようとした時、アメリカに起こったマッカーシズム※の赤狩りに遭ったら大変と発表を控えた為と言われている。

私は、6の概念を提示されて、
   依存 → 独立 → 相互依存
    ↑ ← ← ← ← ↓

の関係が鮮やかに理解できる。

最近はやりのコラボレーションも、この流れにある。つまり、始めから凭れあいでも駄目だし、独立だけでも成立しない。
程よいバランスが必要なんですよ。
私たちの仕事もこういう構造を持っています。

つまり、自己実現の仕事まで出来て(せめて自尊の仕事までやれて)、相互依存に入るべきなんですよ。
これがコラボレーションの約束、極意なんですよ。
社会、会社などは色々なコード(約束)に囲まれて営まれています。
その時々に、その場所々に、そのオケージョン毎に、適切な約束を守ることが成功への一歩となります。

当社の一番プリミティブなコードは、報酬は働きにあり。逆から説明しますと、働き(成功)なしに報酬なしです。
来期に向けて、今までの約束を整理して下さい。
そこから、P→D→C→Aサイクル※を組みたてて下さい。
それが少なくとも、来期からのガイドラインになる筈です。

プロフェッショナルの気概とスーパーショットを期待して、今月のありがとうを贈ります。

※エスタブリッシュメント:【establishment】社会的に確立した制度や体制。または、それを代表する支配階級・組織

※マッカーシズム: 【McCarthyism】米国共和党上院議員J=R=マッカーシーを中心に米国内で行われた反共運動。
 一九五〇年から共産主義者に対する過激かつ狂信的な攻撃・追放が行われたが、五四年マッカーシーが上院の査問決議で失脚するとともに衰退。

※P→D→C→Aサイクル:
  【PDCA cycle / plan-do-check-act cycle】
 典型的なマネジメントサイクルの1つで、計画(plan:目標を設定して、それを実現するためのプロセスを設計《改訂》する)、実行(do:計画を実施し、そのパフォーマンスを測定する)、評価(check:測定結果を評価し、結果を目標と比較するなど分析を行う)、改善(act:プロセスの改善・向上に必要となる変更点を明らかにする)のプロセスを順に実施し、最後の改善を次の計画に結び付け、らせん状に品質の維持・向上や継続的な業務改善活動などを推進するマネジメント手法。
井上 健雄