2009年4月のありがとう
額縁

 映像が縁で切り取られ強調される効果を「額縁効果」と呼び、写真や美学、心理学でよく使われる。
 言葉だって額縁がある。やもお(寡男)と聞けばどこか寂しげで汚らしそうだし、未亡人と聞けばそこはかとなく美しげに思う。独断でアホな話だが……
 額縁として、借景式庭園がある。京都には法泉院、蓮華寺、天授庵、光明院等々がある。歩いたり、坐ったりする位置で景色が変わるのが面白い。
 またこの3〜4月には、会社や団体の人事異動(昇・降格を含め)により、社長や部長、課長等が誕生している。同じ人でも表札(額縁)により、人が変わって見えたり、本人だけが浮き上がったり、落ち込んだりする。
 世の中、本筋を掴まずに表面に振り回される人も多い。

 私はこうした意味で、「家庭」と「職場」が変な額縁効果を出さないものであって欲しい。
 確かに両者の役割の差(稼ぐ所と消費する所…)はあるし、家庭での時間は自由でルールは少ないかもしれない。
 しかし、職場も人間の生きている時間としては同じだし、人は世間様に役に立つことが嬉しいもの(働く≒はたを楽にさせる)である。その上、想像し新しいコトを創り出し、対価を得る仕事は、ゲームとしても最高である。
 私が思うに、家庭と職場は、少しルールが違うだけで、人のライフタイムとしての大事さは同じである。

 そうした意味で、額縁を取り、日々の仕事、生活に対処してほしい。みながみな素のままで、人格・識見の豊かな人物となって欲しい。
 特に今期は、昨年に比べて2倍忙しい筈である。これをうまく熟(こな)し、当社の成績も向上させようとすれば、個々人の魅力・能力向上が一番のポイントとなるだろう。
 個々人の狭い額縁を取り、大きく羽搏こうではないか。
 H21年度スタート4月の働き、ありがとう。

井上 健雄