第2号 2002年12月31日発行

contents 2002年総括
2002年総括

      除夜作         王韻
    今歳今宵尽き
    明年明日催す。
    寒は一夜に隨いて去り
    春は五更に逐いて来る
    ・・・・・

 冒頭の詩は、一夜にて季節の移ろいを示す大晦日を劇的に詠んだものです。しかしこのような変化さえ平凡に思えてしまうほど、私たちの社会生活(職場生活)の方が一層刺激的です。

 「生きるとは、徐々に生まれることである」という箴言が語るように、変化せずに生きることは無理だということです。お奨めは、変化に翻弄されるより変化を創りだしていく方になりましょうということです。こうした激変の世の中に対処する一方で、人々はスローフードなる概念を見つけバランス回復を企ろうとしているのも生活の智慧です。豊かな憩いので哲学を深め変化を迎え撃とうと言うのが最初の提案です。

 さて、日本の2002年はどういう年であったのでしょう。日経ビジネスの読者の選ぶ重大ニュースを見ますと、2位:雪印食品牛肉偽装/6位:みずほ銀行システム障害/8位:東京電力原発損傷を隠蔽/9位:日本ハム偽装牛肉の焼却 これに7位:鈴木宗男氏の斡旋収賄を入れると半分が企業の不祥事でありました。

 これらは、ケアレスミスというより、バレない限りにおいて要領が良いとか機転が効くとかと表現された日本の企業システムに内在された悪弊とも言うべきものです。

 従って、たんにコンプライアンス(法の遵守)を方針として出すのでなく、経営評価システムの構造改革こそが近道だと言えます。コンプライアンスの中でも環境問題は大変重要です。京都議定書の遵守とISO14001のシステム概念の導入等が不可避となってくるでしょう。皆様の企業でまた個人としてコンプライアンスを深く広く見直して戴きたいというのが第二の提案です。

 最後に環境の有望なマーケットとして企業で最も話題になるであろうバイオマスについてリマークします。

 アメリカでは、1999年クリントンがバイオに関する大統領令により、2010年までにバイオ製品、バイオエネルギーの利用を3倍にする目標を出しています。

 その2年前の1997年にEUでは2010年までにバイオマスを3倍にする計画を出しています。

 日本は今年(2002年)の7月に骨子がまとまるなどと非常に遅れておりますが、その計画によりますと、1999年実績比6倍〔33万kW(34万kl原油換算)〕のバイオマス発電目標を立てるなど積極的に動き出しています。

 そこで木質バイオマスの巨大な可能性として日本の都会を見直そうと提案します。

 なぜか。例えば、日本の家の寿命は短い。日本では、25〜30年で立て替えされています。この廃材量は年間2,180万?であり、日本の年間木材生産量に等しいのです。(英は141年であるし、米国でさえ103年の寿命を持っている。)

 また、パルプやチップから製紙され、焼却される古紙は1,400万トンもあります。

 その上、未利用の間伐材や工場残材で4,270万トン。これらを石油換算で合計すると3,900万トン。総エネルギーの7%に達するのです。

 つまり、「木に三生あり」といわれるように、
一に樹木としての生命です。
二に木材としての生命です。
三にバイオマスエネルギー源です。この第三項目が今後の大きな方向性になるかと思います。言葉を変えると日本の都会は森林に匹敵するバイオマス総量を持つ宝庫なのです。

 もう少し詳しい資料は前回(12/12)のエコロジー研究会の資料に出しておりますのでご確認下さい。尚、バイオマスエネルギーの具体的なビジネス展開については徐々にプロジェクトとして落としこみ、発表してゆきたいと考えています。参加希望企業の方は、当事務局へお申込み戴きたい。

 来年も一層輝かしい新年を過ごされる様、祈念致します。今年もありがとうございました。

エコロジー研究会
『環境マーケティングにおけるトップランナー方式の意味』
『21世紀の食のあり方について』
Ecology
『ヨハネスブルグサミット』
Well-Being
『老いても、普通に暮らす』
海外情報
『米国環境保護庁とNPOの協力』
『イギリス政府の要望』
書籍紹介
編集後記
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井上 健雄