Ruderal(ルデラル)戦略 |
CSRと書けば、企業の社会的責任(corporate social responsibility)と思われるだろう。
しかしここのCSRはそうではない。
これは、植物の成長・生き残り戦略のCSRである。
C:Competitive(競争型)
S:Stress tolerant(ストレス耐性型)
R:Ruderal(攪乱耐性型)
これは、英国の生態学者ジョン・フィリップ・グライムが、植物の生き残り栄える為の成功戦略として3つに分類したものである。
①Competitiveは強者の戦略であり、例えば昔からある在来種で生き残ったものが取ってきた競争戦略である。
しかし温暖化などの環境変化が、強い種にプレッシャーをかけつつあり、従来の競争戦略で勝ち残ることを厳しくしている。
②Stress tolerant、これは砂漠に生きるサボテン、高山の寒さに耐える高山植物など、その環境に特化して生きる術を手に入れるものである。
③Ruderalルデラル、この代表が雑草である。
これが今回のテーマである。
雑草は強いのか?弱いのか?
雑草は、環境の良い場所にいると、他の植物との競争に負けてしまう。
予測不能な攪乱環境にある道路の割れ目とか、新造成地は、他の強い種にとって予測できない状況だから、出てこないのである。
こうしたニッチな場への進出が、雑草の成功戦略となっている。
不利な条件の中に真先に飛び込む勇気ある種であり、パイオニアプランツと呼ばれる。
豊かになった土地には次々に力ある種が出てきて、パイオニアプランツは駆逐されてしまう運命にある。
荒地を開墾し豊かにしたのに…、とパイオニアプランツは、嘆かない。
優勢種が来るなら、自分達は新しいフロンティアを見つけようとなる。
種(たね)を飛ばし、どんどん新しい環境に入っていくのである。
これらの種は風で移動するものが多いのも、頷ける。
これは弱者の戦略と言われるが、私は、本物の強者の戦略のように思う。
そこで、日本タンポポと西洋タンポポの戦略の違いを見てみよう。
現状において、私たちが、よく目にするのは西洋タンポポであり、日本タンポポを駆逐しているかに見える。
が、さにあらず。
実態は、日本タンポポが昔から咲いていた場所では、今でも日本タンポポが優勢である。
しかし西洋タンポポは、埋立て、造成、道路の法面(のりめん)など人間の行為で攪乱された場所にも積極的に進出しているのである。
西洋タンポポは、ルデラル戦略をとりアウェイの場所に活躍の場を移し生きているのである。
と、このように書き進んでくると、私たちも環境が変わり、アウェイが増えてくるとすれば、新しい戦略が必要になる。
このRuderal(ルデラル)戦略をもとに、新天地、新結合を考え、明日に雄々しくチャレンジすべきである。
暑い夏、頑張りありがとう。
井上 健雄