フィランスロピー研究所 今月のありがとう
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2011年1月のありがとう
イメージ画像 明るくソフトパワーで勝つ

 私たちはいつも慎ましく、誠実に仕事に取り組んでいる。
 しかし私たちの周りには、いろいろなパワーゲームが進行している。

 例えば国力というものを考えてみる。これは、経済力、軍事力、ソフトパワーの3つで評価されるとしている。しかし正確な順位づけは、大変な困難を伴うものである。
 日本が一昨年まで世界2位の経済力、アジアNo.1を誇っていたとしても、世界はマーケットとして重視したとしても、総合的な国力としては、大した評価を受けなかった。
 しかし、ひとたび中国が経済力をつけ、アジアNo.1に躍り出ると、評価とともに脅威論も出る。人口世界一、強力な軍備の膨張、長い歴史、強(したた)かな外交力…と、アメリカさえを凌ぐかと思わせるものがある。
 この中国に対し、インドが『あなたは経済力アジアNo.2で満足ですか?』とか、日本が『経済力アジアNo.2で満足ですか?』と聞かれ、これに対し『NO!』と答えるなら、それはパワーゲームに参加していることになる。

 日本が経済力アジアNo.1になるには、困難な道しかない。
 総合力として確かな国力を持つには、あれもこれも含めてどうするか問うべきである。
 日米同盟にしても、それを単なる2国間のものにするか、アジアの公共財と位置づけるのかで全く違った評価になるだろう。
 つまり評価というものは、ハードパワーだけでなくソフトパワーも含めたところにあるからである。
 ソフトパワーとは、文化(文学、美術、高等教育…)であり、国内外への政策であり、技術力、知財力から仮想共同体構築力、非政府組織やNPO等々の力にある。
 国力として、日本が重視すべきなのは、このソフトパワーによる総合力こそが、アジアNo.1への近い道である。

 大事なことは、このソフトパワーが、強くある為には国民が元気でなければならないことである。
 暗い国民は、ソフトパワーとしてのプレゼンスは弱いし、評価もされない。
 つまり人びとの楽観なしに、ソフトパワーは、力を発揮することはないのである。

 私は、いま大きく世界のパワーゲームのあり方について、少し触れた。
 これを私たちの仕事にあてはめると、(いつものように大きな論理的飛躍はあるものの)慎ましく誠実な仕事もその価値を高める為には、ソフトパワーの発揮こそが必要なのである。
 私たちのソフトパワーの源泉は、いろいろな人々、団体、大学、行政との連携力と、問題の構築力と解決力にある。
 少ない人数の私たちが影響力を持ち、パワーゲームに勝ち残る為には、一人ひとりがより優れたソフトパワーを養成し、発揮することにある。
 私たちのソフトパワー発揮こそが社会へのパフォーマンスと思いさだめ、さぁ明るくいこう。ありがとう。

井上 健雄

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